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アルツハイマー治験の話

家族性アルツハイマー

家族性アルツハイマー治験
ニュースでも大きく取り上げられた『アルツハイマー治療薬』の治験の話です。
家族性アルツハイマーは全体の約1%程度だそうです。
今回は、アメリカの大学主導で世界16か国170人程度、無症状から軽度の方を対象とした治験のようです。日本では4名が参加されるということですね。

エーザイ 新薬
治験の対象は、この病気の遺伝子変異があり、推定発症年齢の前後10年にあたる人。国内では、4人が参加登録し、一部に薬剤の投与が始まっているということです。
治験では、全ての参加者に3~4年間、患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイド βベータ (Aβ)」を取り除き、病気の進行を遅らせるエーザイの新薬「レカネマブ」を点滴するそうです。
タウたんぱく
また、参加者のうち半数には、患者の脳内にたまる別のたんぱく質「タウ」の蓄積抑制を図る薬剤も点滴するということ。これもエーザイが開発中の「E2814」という薬です。
脳内のAβやタウの変化、認知機能の低下を抑える効果がみられるかを調べ、レカネマブのみのグループと2剤投与したグループで差が出るか確かめるという内容のようですね。

将来的には、アルツハイマー病全体の治療につなげていこうという試みです。

千里の道も一歩から

世間では、もうアルツハイマーは薬で治るかのような誤解を生む情報も多くあります。
いろんな情報を自分たちの都合の良いように解釈して、高額なサプリメントなどを売りつけたりする業者には注意が必要です。
また、専門外の医者や薬剤師がユーチューブなどで、カウント稼ぎのためにいい加減な情報を流布していることもあります。


情報の出所を確認しながら、今の現状を知ることは大切ですね。

サグラダファミリア
『千里の道も一歩から』『ローマは一日にしてならず』など、昔の人達は日々の努力の積み重ねが大切だという事をわかっていたようです。
製品の開発や研究成果は、博打や宝探しではありません。努力してきた結果たまたま大きな成果となるのかもしれません。

成果として現れたそこがゴールではないのです。もし、アルツハイマーの治療法が確立したとして、その先にはもっと大変な病気が待ち受けているかもしれません。
『治療』と併せて大切なのが『予防』です。再発を防ぐことや、未然に防ぐために必要なこともあります。また、『手遅れ』になった場合の対処法や、イレギュラーなケースも出てくるかもしれません。

世界アルツハイマーデー
1人でも多くの人がアルツハイマーと言う病気にならなくて済むこと、治療によってQOLを改善し、自分らしく生きられることが大切だと思います。

間違った情報は、こうした取り組みに水を差すだけでなく、予防や治療に取り組む人たちに迷惑をかけることになります。

今後も、志をもった医師や研究者の努力によって、アルツハイマー病の治療に関する正しい情報や良い結果がたくさん報告されるよう期待しましょう。