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リロケーションダメージとは

リロケーションダメージ

住まい
私たちは、住み慣れた環境でいつまでも過ごせたら良いと思うものです。

ところが、病気や怪我などの身体的な問題や、地震などの災害で急激に環境が変化してしまう事もあります。このほかにも、転勤や高齢者の施設入居などもそうですね。

環境に適応できないと、心身に不調をきたすことがあります。高齢者はとくに環境変化の影響を受けやすく、不安や混乱につながりやすいです。
これを『リロケーションダメージ』といいます。
リロケーションダメージとは

リロケーションダメージ
能登の地震でも特に避難所で暮らす高齢者の健康状態悪化が懸念されています。

今の安全な環境に慣れた私たちは、高齢者でなくてもいずれ大きな環境変化が訪れるとこの『リロケーションダメージ』が問題になるかもしれません。
物が無い時代、不便が当たり前だった時代には考えられない事でしょうが、今の私たちは現在の生活が『当たり前』なので、電話か使えないとか電気か使えないとか想像もつかない人がいるかもしれません。ある程度の不便を経験していた人は適応できるかもしれませんが、そうでないと様々な症状が出てくる可能性があります。

リロケーションダメージの原因

介護
・居心地の悪さ
・生活リズムの変化
・人間関係の変化


就職や転職をして心身の不調を訴える人みたいですね。つまり、これらに共通しているのは『過度なストレス』によって心身に影響が出るということです。

慣れない事をしたり、覚える事は記憶力が衰えた高齢者などには過度の負担になります。自由気ままに生活していた方が急に病院や施設で規則正しい生活になるのも、この制約がストレスとなり認知症やBPSDが進行してしまう可能性があります。

最も大変なのが人間関係ではないでしょうか。能登暮らしが不便でも金沢とかに避難したくない人が多いようです。人付き合いは長年の付き合いから信頼が生まれたりしますからこれがまた1からとなるとすごいストレスでしょうね。

リロケーションダメージで起こる症状

介護現場
・せん妄
・認知症
・鬱病


せん妄による主な症状
集中力の低下
幻覚や妄想
昼夜逆転
興奮状態
情緒不安定


せん妄とは、軽度の意識障害の一つで上記のような症状が現れます。リロケーションダメージがきっかけとなり、せん妄を誘発するケースがあります。せん妄は一時的な症状のため、ご本人のストレスを緩和できれば改善すると考えられています。高齢者は特に注意です。
認知症の症状例
記憶力の低下
日付や時間、場所がわからない
幻覚や妄想
暴言、暴力


認知症の症状はせん妄と類似していますが、原因を解消することで改善できるせん妄に対し、認知症は徐々に進行していき現在の治療法では改善が難しいです。


中・高齢者のうつ病に多い症状
頭痛
胃痛
息苦しさ
身体のしびれ
めまい


上記のような身体的症状が出る事があります。災害関連死は、このような症状が引き金になって免疫力や体力が低下し、持病が悪化したり感染症になったりしておこります。

リロケーションダメージ
今回は、震災の記事から話題を取り上げましたが、介護施設への新規入居や感染症発生時の居室対応、施設内のレイアウト変更など急な環境の変化によって、影響を受ける方も少なくありません。
特に認知症やパーキンソン病のある方、感染症などで急にQOLが低下した方などは注意が必要です。コロナ患者も増加しています。まだまだ予断が許されない状態ですね。
コロナ増加1.26

ひとは、強くもありまた弱くもある生き物だと思います。普段から、生活変化への免疫をつけておくことも大切かもしれませんね。