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アリとキリギリス

医薬品不足

災害
北陸石川県能登の地震から二日が経ちました。
震災の大変なのは、『震災関連死』を引き起こす避難所や医療機関の問題です。
水が出ない事や薬が足りない事などが徐々に問題になっていくと思います。

そんな中で、医薬品の不足は慢性的に続いており困っている方も多いかもしれません。

発端はジェネリック医薬品メーカーで製造上の不正が発覚したことで、ここ数年余りの間に各地のメーカーが業務停止命令の処分を相次いで受ける異例の事態となっています。

開発した先行品も、ジェネリック品が出るとそちらに需要を奪われてしまいます。
サプリメントでもそうですが、良いものほど類似品が出てきたせいで買えなくなってしまったり製造休止になってしまったりします。

薬ジェネリック
ブームが去ると、類似品も突然無くなったりしてそれを必要としていた人たちが困ります。販売店もお客様もです。ましてや医療に欠かせない『医薬品』を製造している企業が不正の為に営業停止の処分を受けるなんて大変なことです。企業の体質やモラルが大いに問われることになりました。


そもそもの原因は

小林化工
一連の問題の発端となったのは、2020年12月に発覚した福井県のジェネリック=後発医薬品メーカー「小林化工」が製造した水虫などの真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した不祥事でした。
服用後に意識を失うなどの健康被害が出た人は240人以上に上り、中には車の運転中に事故を起こしてけがをするなど深刻なケースもありました。
小林化工は福井県から過去最長となる116日間の業務停止命令と業務改善命令の処分を受けました。
その後も製造・販売の再開には至らず、事実上、経営の再建を断念し、工場などを別のジェネリック大手が設立した新会社に譲渡しました。これが医薬品不足のきっかけですね。

小林化工の処分のひと月余り後の去年3月には、国内ジェネリック大手3社のうちの1つ「日医工」が富山県から業務停止命令を受けました。
「日医工」は品質試験で不適合となった錠剤を砕いて再び加工したり、出荷前の一部の試験を行わないなど、やはり国が承認した工程とは異なる製造を10年以上前から続けていたとして処分されました。
昨年は、ジェネリックのサワイも業務停止になりました。バレなければ良いという考えが、自社の信用を傷つけるだけでなく、社会的に多大な迷惑をかける事に繋がります。
業務停止

以前には、熊本市の製薬メーカー「化血研」が国の承認と異なる方法で血液製剤などを製造し組織的に隠蔽していた問題で、2016年に当時としては過去最長の110日間の業務停止命令を受けています。
その時も厚生労働省がメーカー各社に自己点検を求め、7割余りのメーカーから軽微な手続き上の遅れなどが報告された一方で、今回相次いで発覚している「10年以上前から」とされる不正は申告されませんでした。

ダイハツ1 ダイハツ2
医薬品業界だけではありません。ダイハツの不正問題だって今に始まったことではありません。
真面目にやっている下請けや関連企業にまで迷惑をかけます。車の部品やメンテナンス、車や部品の供給が止まる事で、車の製造販売や修理、物流など様々な分野に影響が出ます。

長年かけて先代が築いてきた信頼や技術は引き継がれずに、安易な方法や不正で楽をすることが常態化してきた結果、社会に影響を及ぼすような大きな不祥事に発展しまったんじゃないでしょうか。

キリギリス
アリとキリギリスの話のように、栄華を誇る大きな企業が業務停止を受けて失墜していく様子は、まるでキリギリスですね。
社会に貢献するということは、まず社会に迷惑をかけないということが前提ですから、やるべきことをきちんとやる事が大切です。なにも特別なことではありません。
ただ、『継続』は難しく『改善』したと思ったことが、不正や惰性になっただけということもあります。だからこそ、これまで行ってきたことを最初から否定するのではなく、これまでの作業の本質に目を向けて、検証しながらより良い方法を模索していく事が本当の『改善』だと思います。

スピードや効率化といいますが、本質も知らずにあれこれ手を出すのはどうかと思います。急がば回れで、気づいたことに対して、よく考えてから行動した方がミスは減らせるだろうし、何より大切なのは検証を怠らない事です。面倒かもしれませんがこれが本当は一番大事なのかもしれません。

信頼を得るためには、目に見えないところでどれだけ努力しているかが大切じゃないでしょうか。