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新専門医制度

新専門医制度とは
医師

専門医制度とは?
専門医制度(旧専門医制度)とは、各診療科・領域におけるスペシャリストを育成し、質の高い医療を提供することを目的に生まれた制度です。

旧専門医制度では、学会ごとに独自の認定プログラムが運用されており、そのプログラムを修了することで専門医の資格取得が可能でした。

しかし、旧専門医制度にはいくつかの課題が見つかったため、国民に対するより良質な医療の提供と育成される医師のキャリア形成支援を目的とした「新専門医制度」が2018年に設立されました。

専門医と専攻医

過労死
こころの病から、医師の過労死の記事を読んでいるときに『専攻医』という言葉が出てきました。
医者になれば高い給料をもらって仕事ができると思っていましたが、実際には過酷な環境で働く医師も多いようですね。

上記の記事で亡くなられた医師は専攻医だったようです。専攻医とは、初期研修を終え、専門研修プログラムを受けている医師を指します。
初期研修が2年以上かかるため、専攻医になるのは3年目以降。
専門研修を修了することで、プログラムに基づく適切な教育を受け、十分な知識・診療の技能を修得した医師を指す「専門医」試験の受験資格を得られます。

医師の勉強とは違うかもしれませんが、流れだけ言えばケアマネになろうと思ったら、半年間で実務者研修をとって3年の実務経験で介護福祉士の受験資格が得られ、介護福祉士になって5年の経験でケアマネの受験ができるみたいなもんでしょうか。
受験資格が得られるまで期間は、現場経験とか研修、自己研鑚の時間と言うことですよね。

専門医専攻医
医学生は学校を卒業したからすぐに『お医者さん』になれるわけでは無いということですね。

合格発表
医学部を卒業し、医師国家試験に合格すると医者として勤務が可能になります。
医師としてのスタートは、約2年間の「初期臨床研修」

基本的な診療知識・スキルを身につけるため、様々な診療科で研修を受けます。
具体的には、内科や救急、外科、小児科、産婦人科、精神科、地域医療などの経験を積みます。

この「初期臨床研修」を受ける医師が、「研修医(初期研修医)」です。

その後、大半の医師が「専門研修」に進みます。

この専門研修は基本的な診療知識・スキルを身につける「初期臨床研修」とは異なり、
特定の診療科についての診療知識やスキルなどを学ぶものです。

また、専攻医になると診療行為を含むアルバイトが解禁されます。
自身の専門領域を決め、この「専門研修」を受ける医師が「専攻医」です。

「専攻医」が研修プログラムに合格すると、「専門医」の資格を取得できます。

私は医師では無いのでわかりませんが、多分この『専攻医』になるところからがさらに大変なのでしょうね。医師になる事より、自分がやりたい分野を自分が働きたい地域や施設でやれるかどうかは、雇う側にゆだねられます。登録制になっているようですが、まず希望の地域や診療科へ進めるか、そして専門医になれるかというプレッシャーは大きいのかもしれません。

専攻医の募集
① まず自分がなりたい領域などを登録します。
② 登録したら、研修内容(プログラム)を確認してどこに応募するかを決めます。
③ 応募締め切りまでに、希望する施設の見学を行い、一次募集の応募先を決めます。
④ その後、専攻医登録サイトから応募するという流れです。応募は1領域の1つのみです。
⑤⑥ 面接や試験で合否が決まり、合格しなければ二次募集にまわるという流れですね。



問題になったのは、この専攻医になった後の業務と『自己研鑚』でした。
自己研鑚
自分の業務時間以外で頑張らないと、ついていけないという構造上の問題が焦点になってます。
限られた枠がある以上、何とか頑張って勝ち取ろうというのはわかります。
どうしてもはじかれてしまう人が出てくるのは仕方のないことですが、医者になるためのこれまでの努力や家族のことなどを考えると必死にしがみつきたい気持ちはわかりますよね。その為、自分を追い込んでしまったり無理をする人も出てきて、結果的にバーンアウト(燃え尽き症候群)的な状況や最悪自殺してしまうようなことにもなりえるのではないでしょうか。
過労死

この構造的な問題を、すべて病院側の問題と押し付けるのはダメだと思います。
わかっていたはずなのに放っておいたという解釈は、行政や業界の怠慢だと私は思います。

新しい制度(シーリング制度)では、診療科や地域の偏りを解消し、各専門医ごとの質の差を解消することが目的とされています。シーリング制度とは、医師の地域ごと診療科ごとの偏りなどの解消に向けて、医師の採用数を都道府県や診療科に応じて制限する制度です。

医師になりたい学生からすれば、希望する診療科や勤務地を勝ち取るために過酷な競争もあるでしょう。言わば病院側などの買い手市場ですから地域格差が是正されるものではありません。

独立リーグ
状況は少し違うかもしれませんが、プロ野球選手がダメでも独立リーグや社会人で野球が続けられるように、研修医や専攻医へのサポートや労働環境の改善は、官民一体となってやっていかなければならないと思います。医療や介護は民間企業と同じような位置づけをされているようにも見えますが、医療・福祉は国の根幹を担う事業ですから、もっと若い世代を育てる環境にするべきです。

私は公務員にも同じことが言えると思いますが、仕事のやりがいや本質を教えるのは経験者の責任だと思うし、『自己研鑚』のない業界は衰退しかないと思っています。

今の日本は、リーダーが弱いと思います。医療・福祉・行政・教育などどの分野においても力強さを感じません。私が直接携わっていないから見えていないだけかもしれません。

だから、せめて自分が携わっている仕事や自分の生活から感じることはどんどん発信していきたいと思います。

企業や政治家の不正や不祥事ばかりが取り上げられていますが、社会生活におけるどの分野でも、もっと若い世代が生き生きと躍動できるようにしっかりとサポートし道筋をつけていく事が、各分野のトップやリーダーの責任だと私は思います。