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心の病と向き合う 後半

医師の志

若い医師の過労死自殺のニュースがありました。
一人前になるには努力が必要ですが、本人任せにするのではなく周りのサポートが大切だと私は思います。専門的な技術や知識を習得するのは大変です。そこに現場での仕事をこなしながらとなると相当な負担になるでしょう。
過労死

また、それぞれの専門分野での課題もあると思います。
北新地ビル放火2
このような形で、志半ばに命を失う医師もいらっしゃいます。
患者さんの病気を治そうと、志を持つ医療従事者がほとんどだと私は信じたいです。でも、ニュースになるのはほとんどが不正や医療事故の事ばかりですから、どうしても悪いイメージや大変な仕事だというイメージばかりが先行してしまいますよね。

特に精神科の先生が逆恨みされるような事件は今回が初めてではないですし。それでも患者さんと真摯に向き合うお医者さんは本当にすごいですよね。

ただ、一人前の医者になるまでには過酷な労働環境や、患者さんやその家族、周囲からの厳しい目にもさらされて、理不尽だと思う事も多いでしょう。真面目な人ほど、自分を追い込んで鬱になったり、自殺してしまう事もあるでしょう。甲南医療センターの件も、病院だけの問題ではなく今の日本の医療に関する構造の問題なのではないかと私は思います。


こころの病

こころの病気は、誰でもかかる可能性があります。ただ、体の病気とは異なり、こころの病気は、本人が苦しんでいても、なかなか周囲からは分かりにくいという特徴があります。

こころの病気と言っても、様々です。心の病気は個人差も大きく、ストレスの感じ方や心身の症状出現に関しても、かなりバラツキがあります。安易な情報による自己判断は避けましょう。

精神疾患

様々な病気がありますが、似たような症状があるので専門的な知識が無いと診断は難しいと思います。

統合失調症

脳の機能障害により、幻覚や妄想、考えがまとまらない、意欲低下、認知機能低下などの症状がでます。
およそ100人に1人の割合で発症するとも言われており、比較的多い心の病です。薬や精神科リハビリテーションなどの治療を継続することで、きちんとコントロールできるようです。

うつ病

近年、うつ病を含む気分障害の患者さんが増加しているようです。

精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった状態が続いている場合、脳が上手く働いてくれないため、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。
そのため普段なら乗り越えられるストレスも、より辛く感じられるという、悪循環が起きてきます。その期間が長くて日常生活全般に支障を来たすようであれば、ゆっくり休養をとることが大切です。

双極性障害(躁うつ病)

上記のうつ病を疑われた患者さんの中に、双極性障害(躁うつ病)と判断される患者さんが含まれていることが分かっています。双極性障害とうつ病は治療方法が異なるため注意が必要です。
うつ状態だけが起こる病気を「うつ病」といいますが、このうつ病とほぼ同じうつ状態に加え、うつ状態とは対極の躁(そう)状態も現れ、これらを繰り返す慢性の病気です。躁状態では、気分が高まって元気になったと感じており、あまり眠らなくても活動できます。何でも出来る気分になったり、急に偉くなった気になったりします。多弁になり、喜怒哀楽の感情表出が激しくなります。ときに躁状態とうつ状態が混じり合う混合状態もあります。若い人に多いようです。

強迫性障害

自分の意思に反し不安や不快な考え(強迫観念)が頭に浮かんできて、それを抑えようとしても抑え切れず無意味な行為(強迫行為・儀式的行為)を繰り返さずにはいられなくなる心の病気です。何度も手洗いする行為や鍵などを何度もたしかめようとする確認行為などがよく知られています。

不安障害・パニック障害

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。病的な不安が要因といわれますが、このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。 一方で内科的検査では異常がないために、「気のせい」「気にしすぎ」「性格的なもの」などとみなされ、病気だと思われないことがあります。不安障害・パニック障害が長引けば、うつ状態やアルコールなどへの依存につながる場合があります。治療可能な病気です。

社交性不安障害

注目を浴びることで過剰にストレスを感じてしまい、不安や恐怖を呈する病気です。
大勢の前で、あるいは初対面の人と話をするのが苦手で、不安を感じて緊張してしまい、動悸・息苦しさ・手足のふるえ・声のふるえ・吐き気・尿が近くなる・頭が真っ白になる・顔が赤くなる・めまい・発汗などの多彩な症状が出現します。
日常生活や社会生活に支障を来たすようであれば、治療の対象となります

睡眠障害

睡眠障害は、広く睡眠に関する病気全般を指す用語です。夜間の睡眠が障害されるもの、日中の眠気を呈するものが含まれます。
一般的には不眠症のご相談が多く、不眠は様々な疾患で現われます。夜間に就床してもよく眠ることができず、日中に生活の質の低下がみられる場合に不眠症と診断します。不眠症以外にも、睡眠関連呼吸障害、過眠症、概日リズム睡眠障害、睡眠時随伴症、睡眠関連運動障害などの睡眠障害があります。
夜間の不眠症状には、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠困難があり、それぞれに適した睡眠剤があります。正しい薬の服用と生活習慣の改善や心のケアなどが大切です。

自律神経失調症

動悸やめまい、ふるえ、発汗、喉の違和感や息苦しさ、のぼせ、ほてり、ふわふわ感など自律神経系の多彩な症状を総称して、このように表現することがあります。
ひとつの確立した疾患概念があるわけではありません。心理社会的なストレスの影響であることも多いため、他の診療科で異常所見がなかった場合には、精神科心療内科が診ることが多いようです。

認知症

一旦正常に発達した知的機能が持続的に低下して、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態をいいます。正常に働いていた脳の機能が低下して、記憶や思考への影響がみられる病気です。
「認知症」はいわゆる総称であって、アルツハイマー病や脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症の四大認知症のほか、多くの認知症性疾患があります。

高次脳機能障害

事故などによる頭部の損傷により、人間独自の高次(情動・記憶・言語など)脳機能が障害された状態です。ときには本人でさえ、その変化に気付かないため、目に見えない障害とも云われています。以前と比べて何となく怒りっぽい、素っ気なくなったなど、日常生活で些細な変化として現れます。

自閉性スペクトラム症

自閉性スペクトラム症は、対人関係が苦手・強いこだわりといった特徴を持つ発達障害の一つです。以前は、自閉症の特性をもつ障害は、典型的な「自閉症」に加え、特性の目立ち方や言葉の遅れの有無などによって「アスペルガー症候群」「特定不能の広汎性発達障害」などに分けられていました。典型的な「自閉症」は、言葉の発達が遅れ、相互的なコミュニケーションをとるのが難しく、「アスペルガー症候群」では言葉の遅れはなく、比較的コミュニケーションが取りやすいという特徴があります。一方で、これらの障害では対人関係の難しさやこだわりの強さなど、共通した特性が認められます。そのため、別々の障害として考えるのではなく、虹のようにさまざまな色が含まれる一つの集合体として捉えようとするのが「自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)」という考え方です。

心身症

精神的なストレスが原因となって身体に症状が出ている状態のすべてを示します。従って、症状の発生や悪化に、ストレス(心理的・社会的)が影響している身体の病気や症状は、すべて心身症に含まれます。例えば、糖尿病や高血圧であっても、その病態にストレスが大きく影響していれば心身症になるわけです。
心や身体の状態コントロールには、大きく自律神経系・内分泌系・免疫系の3つが関与しています。「心」と「身体」は、これらのシステムが相互に作用しながら全体のバランスを保っています。そのため、心や身体のどこか一部分に変化がおきると、その部分だけの問題では済まず、全身の様々な働きに連鎖的な影響を及ぼしていくことになるのです(心身相関)。

こころの病は外見ではわかりにくく、性格や人格などと間違われることもあります。間違った自己判断で病気を悪化させないことが重要ですね。
認知症もそうですが、病気の事を良く理解して相手に接する事や自分と向き合うことが大事だと思います。