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世間の受け取り方

尊厳死と安楽死

尊厳死とは、人としての尊厳を保ったまま迎える死のことを言います。
延命治療をしない、自然な人の死を指す言葉でもあります。また、介護の記事で書きたいと思いますが、施設には『看取り介護』と言うのもあります。
尊厳死の

安楽死
安楽死とは、もはや回復の見込みを望めなくなった場合に、怪我や病気の苦痛から解放されるため、安らかな死を選ぶことを言います。人為的に医療的な措置を行うこともあります。海外では認められている国もありますが、日本では認められていません。

人の死をどう受け止めるのか

欧米では、尊厳死を法律に組み込む国が多くあります。実際に裁判で「尊厳を持って死ぬ権利」を認められた例もあります。先進国では尊厳死を認める傾向にあるのです。それに対し、日本ではまだ法律上は、尊厳死は認められていません。

終末期医療において、医師が延命治療を中止する際の手続きを示したガイドラインは既にあります。厚生省が2007年に発行した「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」では、本人・家族・医師の三者による議論と合意があれば、治療の中止を含めた判断を行えると明示されています。

さらに2014年に、日本緊急医学会や全日本病院協会が、より具体的な指針を作成し、具体的に中止できる延命治療を提案しました。「胃ろうの中止」「心静脈栄養法など点滴の停止」「人工透析の中止」「人工呼吸器を外す」「抗がん剤の投与中止」の5つです。この範囲において、医療現場では尊厳死が事実上容認された状態となっています。

しかし、それを担保する法律はないため、医師が殺人罪等で訴えられるリスクはゼロではありません。言わばグレーゾーンとなっています。

世間の受け取り方は様々

私たちは医療や法律に関する専門的な知識が無いので、新聞やテレビ雑誌などの情報で判断することが多いです。わたしはこの記事を見て思うことがあります。

生きたまま身体が腐っていくくらいなら、と「脳死」患者の気管チューブを抜いた瞬間起こった「予想外の事態」
喘息の重積発作で心肺停止になったあと、蘇生処置で人工呼吸器をつけていた患者さんが、脳死に近い状態になったとき、主治医はこのまま延命治療を続けて生きたまま身体が腐っていくような悲惨な状態になる前に、治療を終えたほうがいいと判断し、家族の同意を得た上で、気管チューブを抜きました。家族にも病室に集まってもらい、最後のお別れをしてからの処置です。そのまま安らかに亡くなるはずだったのに、患者さんが背中をのけぞらせて苦しみだしたのです。予想外の事態に、主治医は同僚医師のアドバイスで、筋弛緩剤を投与して患者さんを看取りました。


この後、医師は殺人の罪で逮捕されます。

私はこの医師の著書は読んでいません。この件に関してはいろんな医師が賛否両論書かれています。事件が起こったのは1998年、事件が発覚したのが4年後で2009年に最高裁で上告が棄却されました。詳しい経過は須田セツ子医師の著書、『私がしたことは殺人ですか?』(青志社、二〇一〇年)に書かれています。
当時、マスコミはセンセーショナルに報道したそうです。

私は、医者は人の命を救うために仕事をしていると思っています。その判断や処置を罪に問うのは違うと思います。そもそも、何もしなければ命が無かったのかもしれません。もっと苦しんだかもしれません。私たちは、世間のうわさに左右されず冷静に判断しないといけませんね。

医者も仕事です。ボランティアではありませんし、神様でもありません。人ですから間違いもあるでしょう。医師とは何かは国の法律によって定められています。

第1条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

第1条の2 国、都道府県、病院又は診療所の管理者、学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学(以下単に「大学」という。)、医学医術に関する学術団体、診療に関する学識経験者の団体その他の関係者は、公衆衛生の向上及び増進を図り、国民の健康な生活を確保するため、医師がその資質の向上を図ることができるよう、適切な役割分担を行うとともに、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

つまり、金儲けや権力誇示に明け暮れることなく国民の健康維持増進のために行政や医師の教育機関・医療に関する団体などと連携して、健康維持や改善に努める仕事です。

私たちにできるのは、そういう医師や病院かどうかを判断して治療をお願いすることです。
正しい判断をするためにも、病気や医療などに関する知識を身に付ける事も必要でしょう。週刊誌やテレビや新聞の興味を煽るだけの極端な情報に感化されないように注意したいですね。

私たちが正しく取り組めば、正しい方向に向かうはずですよね



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