高齢化と認知症
歳を取ればいろんなところが衰えてきます。認知症ばかりでなく、様々な病気が増加するでしょう。
高齢化の進展により認知症の有病率は増加している
高齢化の進展によって、認知症を発症する方の割合は増加しています。2012年には65歳以上の認知症患者数は462万人(有病率15%)であり、2025年には730万人(有病率20%)にのぼると推測されています。
また、別の情報では高齢化の進行と比例して認知症高齢者数も増加しますので、2025年にはおよそ700万人(高齢者5人に1人)、2060年には850万人(高齢者4人に1人)になると推計されています。ほぼ、同じような推移ですけど。
厚労省のデータでは2025年に高齢者の5人に1人が認知症になる推計でしたが、言い換えると5人の内、4人が認知症ではない、と言えます。
ただし、認知症でない高齢者の中には、認知症予備軍とも言える軽度認知障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)の人も含まれます。
加速する新薬の開発
高齢化による認知症は世界的な問題になっています。そして、その治療薬の研究も進んでいるようです。
世界では3秒に1人が認知症になっている
WHO(世界保健機関)によると2015年、認知症有病者数は5,000万人、そして毎年1,000万人近くが新たに認知症になるとの報告もあります。
これを365日、1日、1時間、と細かく割っていくと、約3秒に1人が世界のどこかで新たに認知症になっている計算です。
認知症治療薬『レカネバブ』
日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した認知症の原因の1つアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」です。 アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことができ、症状の進行を抑えることが期待されています。
7月に承認された米国での販売価格は、患者1人当たり年2万6500ドル(約390万円)と高額です。
日本でも年間百万円単位の薬価になる可能性ですが、高額療養費制度があるため、患者の自己負担は、70歳以上の一般所得層(年収156万~約370万円)の場合、年14万4000円が上限となるようです。
病気への理解を妨げるもの
認知症への理解を広めようという書籍が出ていたり、ネットでの情報発信も多くあります。近年、認知症をテーマにした映画なども増えてきました。
過去にはテレビや週刊誌でも『差別的な』表現や『人権を無視した』描写をしていました。
そのため、『認知症』とか『アルツハイマー』と聞いただけで、拒絶反応を示す人もいます。
私も、過去にたばこの吸い殻を食べたり、奇声をあげる高齢者をモザイクをかけて映している番組を見た覚えがあります。テレビは、視聴率を取るために過激な表現をしたりします。
注意をひくためという安易な考え方で、病気の理解を妨げていたことに当時はきっと気づいてなかったのだと思います。
そうした影響からか、介護を『不幸の題材』としているイメージから抜け出すのは容易なことではないと思います。
高齢者の事故などを引用して、いまでも、その時のネガティブな表現を引用したような記事もあります。
やはり、高齢者→認知症→人に迷惑をかける→自分に降りかかるというネガティブな発想から、『自分の親の面倒は自分で見ないといけない』という考えになってしまいがちですよね。
こうした社会の『病気の理解』と『病気への偏見や差別』は、一日も早く無くしていかないといけないと思います。
生まれつき糖尿病の方は、甘いものの食べすぎでなくても糖尿病です。
生活習慣病といっても、体質や遺伝的に生活習慣に関係なくなる人もいます。
正しい知識の理解はとても大切です。異論を唱えて、それで注目されて自分だけ儲けようとかいうやり方は、モラルが無いですよね。自分がされたら嫌です。
病気への理解を妨げるのは、公に(メディアなど)ネガティブな間違った情報を流すため、世間の人達が『あまり関わりたくない』と思うからではないでしょうか。
認知症の治療はどんどん研究が進んでいくでしょう。でも、それが一般に普及するまでにはまだまだ時間がかかると思います。
また『なっても治る』ではなく、『ならないために何ができるか』も大切です。
その2では、そこについて書きたいと思います。