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山芋の話

初秋となり、朝晩の暑さが少し和らいだようにも感じます。ここから、一気に秋の彩に変わってくるかもしれませんね。

初秋

寒くなってくるとよく、体を温める食べ物が話題になります。


冷たいたべもの

冷やす、温めるも時と場合によって受け取り方が変わります。

夏は熱がこもることを防ぐものを食べたり、冬は熱を生み出すものを食べたり。

気温が上がれば体温は上がりやすいし、気温が下がれば体温も下がりやすくなります。


若いうちは、自分の体の中で調整することができても年齢とともにうまくできなくなることがあります。


今回は、山芋を通じてそこを考えてみましょう。


白いもの、黒いもの


黒い食べ物

体を温めるものが黒いもので体を冷やすものが白いもののような情報がネットにみられます。見ていると、いろんな情報を適当にくっつけていたり、根拠の説明のないものが多いです。

そもそも、冷える温めるというだけでも寒・涼・平・温・熱とあります。また、それに関わる五つの味、甘味・酸味・塩味・辛味・苦味、それぞれが関与する五臓六腑の帰経というものがあります。


何千年という歴史の中で先人たちが、食材一つ一つからその性質を学び伝えてきたわけです。現代の医学や栄養学とは違い、食す人の体調の変化などを注意深く観察したり、自然界の法則に照らし合わせながら確かめてきたのだと思います。


軽々しく、『これは冷えるもの』とか『この色は体を温める』とかいう話をするのは、実際に何らかの症状で悩んでいる方に対して失礼だと私は思います。


日本の漢方薬のパイオニアであり、正しい普及に取り組んでおられる『ツムラ』さんのHPでも書かれているように、『冷え』と一言で言っても5つのタイプに分かれます。

冷えの種類


八綱弁証などの漢方の考え方によって専門家が診ていくと、おそらくいくつかのタイプの症状がある人もいるでしょうし、その症状の強弱も人によって違うでしょう。


人を診るということは、それだけの『知識と経験』を必要とするものだと思います。

漢方の知識と経験や実績が認められ、かつ栄養学や理工学の知識と経験から根拠の明確な情報を発信している人を探そうと思えば容易ではないでしょう。

超一流のプロ野球選手でありながら、第一線で活躍する弁護士です的なものだと思います。


ようするに、自分が人に伝えようとする内容に対して、どれだけ本気なのかが問われるということです。せめて、自分なりの解釈と理解が出来たうえで人に伝えるべきだと私は思います。


山芋の薬効


やまいも


そのそも『山芋』という品種は無く、下記のような分類だそうです。これらが一般的に『山芋』と呼ばれています。

やまのいもの種類


先ほどすこしふれました性質は下記のとおりです。

やまのいも性質


山芋を食べることで、帰経に関与する症状の緩和や改善、疲弊しているのであればその回復や強壮(強く丈夫にしてくれること)を促してくれることになるようです。


漢方薬でも『六味丸』をはじめ山芋(山薬)を使ったものは多くあります。

山芋を使った漢方


薬膳の基本


画像

薬膳は、そのものだけで病気を治すとか改善させるというものではなく、鍼灸や漢方薬・気功などの治療効果を高める食事としての意味合いが強いものです。


性質をみるのは、漢方薬の生薬や配合との『相性』や『相乗効果』を確かめる意味合いも強いのではないでしょうか。


言い換えれば、漢方薬を服用する理由は体の弱ったところをもとの状態に戻すことが目的だと思うので、その働きを高め、助ける『サポート食』だと思います。


生薬同士の相性や働きもさることながら、普段から季節や環境に合わせた食べものを食べることは、身体にとってとても良いことなんでしょう。



食べ方のおすすめ


レンコン

白い食べ物は、肺を潤すと言われています。ヤマノイモ、レンコン、大根やもち米など。


五行五臓

体の臓器との相関やその臓器の特徴を把握して、理にかなった食べ方をしたいですね。


『旬のものを食べる』と考えれば、山芋の旬は10月頃から翌年の春頃まで。呼吸器の乾燥を防ぐ事が大事な季節ですね。


私が思うに、こうした食べ物の特徴や薬効は、たくさん大陸から伝わってきてその中でも、日本の気候風土に適したものや、当時の生活習慣に適したものだけが多く伝えられてきたのではないかと思います。


広く、多くの知識を持つことも良いですが、身近なものほどより実践的に学ぶ方が良いですよね。


四季の変化がめまぐるしい日本だからこそ、こうした食の工夫や、趣向の文化は発展してきたのかなと思ったりします。


同じ食べ物でも、温めて食べたら冷やして食べたり、薬味を使ったり、調理法を組み合わせたり。


すりおろし山芋

生食は、熱を取ると言う意味で咳が出る時や熱っぽい時などに有効な食べ方かもしれません。また、消化に時間がかかるものを食したときなどはそのサポートにもなるでしょう。


火を通して食べる際には、山芋自体が持つ滋養成分や、消化の良さから胃腸を元気にするお手伝いにもなると思います。


それを加味して、いくつかおすすめしたいと思います。


山芋1

海苔と山芋の短冊。海苔は海のものでミネラルも豊富ですしカロリーも低いので、良い組み合わせだと思います。海苔とポン酢などがあれば手軽に作れるのも良いですね。

夏のそうめんで残っためんつゆなども利用すると良いと思います。


納豆山芋

高齢者のタンパク質不足が言われています。納豆とすりおろした山芋を併せるのも良いと思います。タンパク質は消化吸収に時間がかかりますが、すりおろした山芋や、納豆は消化器系に優しいと思います。


グラタン山芋

焼く・炒める・揚げるなど様々な食べ方ができます。すりおろして、マヨネーズやチーズとあわせてグラタンのように焼くのもいいですね。


また、味噌汁や鍋物にとろろにして加えてもおいしいと思います。


山芋は、くせがないためいろんなアレンジが可能です。

山芋の素晴らしい栄養価や、薬効を生かすためにも、山芋を食べる習慣をつけたいですね。











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