難病と指定難病
難病患者等ホームヘルパー 難病基礎過程Ⅱという資格が、今回の実務者研修の学習には付いてきます。
なかなかレアな資格だそうですが、これがあるからと言って、特に何か特別な仕事が出来るというわけでもなさそうです。
その理由の一つが『難病』に向き合う資格だからということもあります。
難病とは、原因や治療法が確立されていないから難病な訳です。ここで注意しないといけないのは、治療法が確立されているのと、病気が治るかは別問題です。
要するに、難病はなっている人も少ないからどう治療したら良いのか、研究対象になる人の数も少なくなってしまう為、中々治療法の確立が進まないという面もあるんですね。
難病の中でも、特に数が少ないものに関しては『指定難病』として、研究対象になるだけでなく国からの援助があります。
中には、名前を聞いた事があるものも含まれますが、ほとんどが知られていない病気ですね。
現在、この数は調べた段階で338ありました。
難病への理解と関わり方
難病の中には、急速に悪化するものもあります。
また、一見普通の健常者のように見える病気もありますから、理解されづらい面もあります。歌手の徳永英明さんの『もやもや病』のように、マスコミに取り上げられてはじめて知るような事も少なくありません。
ただ、先にも述べたように指定難病だけでも338あります。また、私達は難病以外の病気に関しても、知らなかったら誤解している事が多くあります。
また、病気とは毎日規則的に同じ症状が出るとは限らないし、薬の効き方(治療薬ではなく対処薬である事が多い)も個人差がありますから、日によって大きな変化があったり無かったり、症状が見えづらかったりします。
だからと言って、放っておく訳にはいかないし、介護する側も大変かもしれませんが、1番大変で辛い思いをするのは難病になっている本人である事は忘れないようにしましょうね。
指定難病の中でも、介護の現場で出会うことの多い、比較的数が多いとされる病気について、少し学んでいきましょう。
パーキンソン病
パーキンソン病の進行状態を把握するのに、『ヤール分類』というのがあります。
上の表は、パーキンソン病を正しく理解するためにわかりやすいと思いました。
介護が必要なご高齢者の中にも、パーキンソン病の方はいらっしゃいます。
パーキンソン病は、指定難病です。原因はわかっていませんが、脳のドパミンという物質を作る機能が低下してしまいます。幸せホルモンとも言われ、ドパミンは快楽を感じさせる物質であると同時に、身体の動きをスムーズにする働きがあります。
似たような働きのものに、『アドレナリン』というものがありますが、これもドーパミンが関与した物質です。脳の中にある中脳にレビー小体という物質が溜まる事が原因とされていますが、なぜ溜まるのかははわかりません。
これが、大脳の前頭葉に溜まると『レビー小体型認知症』です。
運動機能に関与する症状なので『歳のせい』とか、『筋肉が衰えた』とか感じるかもしれません。でも、高価な運動器を買おうが、アミノ酸サプリメントを買おうが、よくなることはありませんよね。
ちゃんと健診を受けるなりして、不調や異常は何が原因なのか確かめた方が良いと私は思います。原因を解決する方法は、自分が信じるものをやればよいわけで、怖いのは無関心からくる『無知』と、いい加減な情報を信じ込んでしまう『思い込み』だと思います。
難病と言っても、進行の速さは人それぞれです。ただ、『進行する』ということは事実ですから、精一杯のサポートや介護・ケアが求められます。
将来、IPS細胞の再生医療技術が確立したら治る病気になる可能性もあるかもしれません。でも、現実問題としてパーキンソン病患者の介護は転倒リスクの防止など、寝たきりにならないためのケアが中心になるでしょう。
高齢者介護の現場には、老化の進行だけでなく様々な病気のリスクや、けがのリスクなどがあるでしょう。また、生まれつき障害を持った人や若くして障害を持った人たちも、高齢者になります。
介護職は、医師や看護師と協力して、そうした患者さんたちの日常生活もケアしていく大切なチームの一員になっていきます。そのためには、こうした病気や医療知識の理解も必要になりますね。