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見えてない人達

同行援助と視覚障害


『同行援護』とは、視覚障害によって外出が出来ない方への援助です。


目

外出の際の目の代わりをするサポーターという事ですね。


今回、同行援護の授業では、『視覚障害』について、これまで気づかなかった事にたくさん気付かされたように思います。


目の話といえば、目の病気や構造、視力の話になりがちですが、『視覚障害を持つ人』と言う点から見ていきたいと思います。


同行援護ができる人


この介護ができるのは、同行援護の一般課程を修了した人で、このサービスの『提供責任者』となるには、一般課程に加え応用課程の修了や介護資格(実務者研修や介護福祉士など)を持つ事が求められます。


資格を取るために何を学ぶ?


介護福祉士の勉強と同じく、相手の意思を尊重すると言うことはもちろんです。


ただ、同行援護には、それ以外にも学ぶ事が多いです。外出や外出に伴う援助のほとんどは、『情報提供』です。



視覚障害と言っても


視界良好

『目が見える』と言うのも、視力が良いのか悪いのか、視野が広いのか狭くなっているのかなど、人によって感覚は違います。


また、元々見えない人と後から見えなくなった人でも、『見える』事への価値観は違うようです。


全く見えない『全盲』の人と、かすかに見えたりする『弱視(ロービジョン)』の人なども違います。

また、片方見えない人や両方見えない人、色がわからない、遠くが見えない近くが見えないなどなど。


視覚障害のない私達は、それらをすべてひっくるめて『目が見えない人』と思ってます。


視覚障害範囲

身体障害者福祉法による視覚障害の範囲は上記のとおりです。


視覚等級

こうして、視覚障害の程度を等級で表します。


視力

授業で習った内容でいうと、厚生労働省の調査では31万2,000人の視覚障害の方がいるそうです。眼科医の団体の調査では、何らかの目の障害を持つ人は164万人とも言われます。


このように、これまでの目に対する知識は、見える立場でしか見てなかった偏った知識だったことにも気付かされました。



見えていないのはどっち


私が学んだ講師は、2級の視力障害の方です。


座学で学ぶもの以上に、生の声とは貴重な学びになります。


話の中で、一つ気付かされたのは『医療現場の対応』という話です。公共交通機関などには、『合理的配慮』というものがあります。

駅の構内で駅員さんが、車いすの方の乗降や道案内、白杖(はくじょう)の方の手引きをされている姿などを見ます。

こういった行為を『合理的配慮』と言います。

私鉄や航空機、公共施設などでも『合理的配慮』を行っていたりします。道案内や乗降のサポート以外にも、下記のようなものもあります。

合理的配慮


ただ、視覚障害者の方の手引きの仕方など、意外と医師や看護師の方がわかっていなかったりするそうです。手引きの研修は受けていないでしょうから仕方ないと思います。


『目の事は知ってても、目の悪い人のことは知らない。』と言われました。

あくまで、視覚障害のある講師の方の病院に対する個人的感想です。

すべての病院がそうではないと思います。



ただ、本当に必要なサービスが、的確に行われているかというと、まだ制度的にも今後改善する必要があるものもあるでしょう。

介護保険での生活支援は、病院への送り迎えはできても、付き添いは出来ません。

令和3年からやっと通院の際の車の乗降介助が認められました。

あくまで、自宅から病院まで連れて行く事だけが支援の範囲になります。


逆に、同行支援では、外出の準備から帰宅までの範囲が支援なので、病院から帰ってきた後の自宅での服薬の確認や読み上げなどは出来ません。


確かに、ルールは大切です。ただ、こうしたルールの中に全国31万2千人の『目が見えない人の声』がどれだけ届くのでしょうね。

今朝、大阪駅から学校の入ったビルまで、点字ブロックに注意しながら歩きました。

商業ビルに入った途端に、全く点字ブロックも点字案内もありません。

もし、見えない状態で、お店に入ったとしたら皆さんはどうしますか?


視覚は今の私たちの情報収集の80%を占めると言われています。

同行援助者は、見えない人の行動に気をつけながら、自分の目から得られる80%の情報から利用者本人が必要とする情報を瞬時に選択しより多くの情報を伝えなければいけません。

そんな時にはじめて、

『見えているものがこんなにたくさんあったのか』と、あらためて気づくことになるかもしれませんね。見えている人の事を『晴眼者』と言います。ご存知でしょうか?


晴眼者

これまで、サプリメントに長年携わり、その中で目の構造や目の病気の予防対策などいろんな話をしてきましたが、私は『晴眼者』という言葉すら知らなかった。

それが良いとか悪いとか言っても仕方ないですが、あらためて少しでも多くの正しい情報を知り学ぶことは大切だと思っています。


視野狭窄

視野狭窄(視界が狭くなった状態)を、体験しました。文字が大きいとすごく文章が読み辛いです。小さな文字で書いてある方が見やすいことに驚きました。

皆さんも、トイレットペーパーの芯とか使って実際に大きい文字の文章と小さな文字の文章を読み比べてみてください。百聞は一見にしかずとはよく言ったものですね。


目の事を知っているようで意外と知らない。見える事のありがたさがわからないからかもしれませんね。

つまり、本当に見えていないのは『晴眼者』の私たちなのかもしれません。


AIの活用とか、サービスの質の向上とか言いますが、なににどう活用すべきなのか同向上させるべきなのか本当に見えているのでしょうか。


情報社会

最新の高度な技術っていったい誰のためのものなのでしょうね。