三大介護と同行支援
三大介護とは、『食事介護』・『入浴介護』・『排泄介護』を言います。
介護=寝たきりというイメージが無いですか?
高齢者介護や認知症介護の仕方は近年急速に改善が進んでいると言われています。
それでも、病気や障害に関しての偏見や差別、間違った情報はまだまだ多いようです。
過去にはもっと奥の深い差別や偏見がありました。
ここであらためて、『障害者支援』と言う角度から学んでみましょう。
いつ自分が
障害は望んでなるものでは無いです。いつ自分が障害者になるかは分かりません。
交通事故などの不慮の事故や、病気の後遺症によって将来的に援助が必要になる人もいますね。もし、そうなった場合でも社会参加できる仕組みが必要です。
そのために、市町村が実施する支援事業が『移動支援事業』です。こうした支援をする人を『ガイドヘルパー』と言います。
障害に対する二つの見方
障害の見方は、『医学モデル』と『社会モデル』があります。
この違いは、何か不都合が生じたときに、その問題の原因が『本人の障害』にあるのか、
『その場所や仕組みにあるのか』ということです。
例えば、車いすでしか移動できない人が入りたいお店があったとします。そのお店が、エレベーターが設置されていない2階にある場合、車いすの人は一人で上がることはできません。
その理由を『車いすでしか移動できない自分の足のせい』ととらえるのが『医学モデル』の考え方です。社会モデルでは、『車いすで上がる事が出来ない環境が問題』と捉えます。
社会モデルの考え方が広く世に広まるようになったのは、SNSの普及などが一つの要因だと私は思います。缶の蓋が開けやすくなったり、蛇口がレバーになって水が出しやすくなったとか。ただ、一般的には単に『利便性の向上』と取られることも多く、障害者への配慮という考え方は、広く発信していかないとなかなか認知されないような気もします。
コロナ禍で、『リモートワーク』が奨められましたが、本来『社会モデル』の観点から言えば、障かい者の社会参加のためにもっと早く言われるべきだったのではないかと思います。
『弱者の味方』と声を上げる野党政党もありますが、単なるアピールでしかなく現実的には、こうして問題が大きくなった際に、国が主導で解決策が具体化しているのが現状ですね。政治に限らず、儲け話や犯罪に悪用する人たちも必ず現れます。
障害者支援と高齢者介護
全身性の移動支援には、介護と同じく資格が必要になります。
資格があれば、仕事でもボランティアでも支援を行うことが出来ますが、厳密には資格がなければ、家族などの近親者でない限り行うことが出来ません。
必要な知識と技術を学んでおけば、いろんな原因で障害を負ってしまい移動が困難になった方への外出を支援することが出来るようになります。
主な支援内容は
①障害者等の移動の支援(車いすを押すとか、身体の支えになるなど)
②移動中や前後の、食事・衣服の着脱・排せつの介助
③出発時、帰宅時等の身辺介助
④その他必要な介助
です。
実際に、演習をやってみるといろんなことに気づかされました。
社会モデルの浸透
私が小さい頃にも、障害を持った人たちはいました。ただ、現実問題として一般社会での生活は困難なものだったようです。
『典子は、今』という映画がありました。サリドマイドという薬で両手が無い状態で生まれた女性の話でした。当時は、それでも懸命に生きる姿や社会の厳しさが印象的でしたが、今介護を学んで感じるのは、『医療モデル』での視点で、乗り越えるのは本人の努力と周りの温情みたいな。
これでは、社会モデルは浸透しません。実際に、限界はあると思いますが映画が上映された当時に比べると、障害者をサポートする社会体制は少しずつ進化しています。
点字や音による案内、公共機関でのスロープやエレベーターの設置など。
やってみて気づいたこと
移動支援演習では、実際の利用者と介助者の両方を経験します。学校の周りの移動と、交通機関を使って実際に少し離れたところまで行き、買い物や食事をしたりします。
演習をやった後には、身近なところでの工夫や、注意しないといけない場所などに自然と気づくようになりました。
車いすのタイヤ
一見わからなかったのですが、学校で使う車いすは『ノーパンクタイヤ』といって、中までゴムで、空気を入れないタイプです。少しの距離の移動なら、パンクのリスクもタイヤ交換の必要もなくて良いのですが、空気の入ったタイヤに比べて振動を直接感じます。乗り心地があまり良くないので、長距離の移動などには不向きです。
段差や踏切
ほんの1~2段の階段でも、車いすでは登れないです。
普段は、ただ、広いスペースのように思えた場所がスロープになっていたりします。
だから、広いからと言って荷物を置いたりそこに人がかたまると、車いすは通れません。
駅前の階段・スロープ
高架になっている駅などは、階段の数が微妙に多いです。始まりと終わりには足元点字板がついています。手すりにも点字がついていますよね。
短い距離の場合、スロープが設置されている駅もあります。
こうしてみてみると、けっこう長いですよね。でも、角度が急だと車いすで上るのはしんどいし、急な斜面のスロープを下るのは怖いですよね。
エレベーターの大きさ
エレベーターの大きさや、スロープや歩道の幅なども地域によって様々ですね。
大阪は、場所にもよりますが比較的きれいでスペースの広いエレベーターの設置が進んでいるようです。
多岐に及ぶ支援内容
地域ボランティアだけでなく、高齢者の旅行ツアーや個別の旅行支援など、仕事としての支援活動もあります。
大切なのは、相手の気持ちを考え、何がしたいのかを汲み取ることが必要です。
単にわがままを聞くのではありません。お互いの信頼関係で支援は成り立ちます。
そのためにはまず、自分の支援技術や知識、そして経験をはぐくんで多くの人から信頼される介護職になりたいものですね。