無料という罠
『トクリュウ』などが話題になっていますが、こういった犯罪グループが出てくる要因にも『楽して稼ぐ』という人の心理とそれを利用したビジネスの存在があるのかなと思います。
携帯ゲームの中毒性
広告収入をうたった携帯ゲームが、いつの間にか『課金』を収入の中心にしてしまった結果、人の心理を突いた内容のゲームが増えた気がします。
気をつけないといけないのは、こうした携帯ゲームの運営手法の中にはこれまでにもあった消費者心理を利用し、巧妙に課金させる手法がとられています。
その結果、こうした手法に抵抗性がない子供や情報弱者が被害にあうケースが多いと思います。
ゲーム障害
ゲーム障害は、ゲームに熱中し、利用時間などを自分でコントロールできなくなり、日常生活に支障が出る病気です。WHO(世界保健機関)では新たな病気として2019年5月に国際疾病分類に加えました。
ゲーム障害の患者数は、はっきりとはわかっていません。
厚生労働省の調査では、「ネット依存」が疑われる人は成人で推定約421万人、中高生で約93万人(2017年)いると推定されています。また、久里浜医療センターを2016年~17年に受診した人のうち、ネット依存の約90%がゲーム障害でした。
我慢できない子供のように
私たちの行動は成長とともに理性を育み、脳でコントロールされています。
脳の前頭前野は主に「理性」をつかさどり、大脳辺縁系は「本能」「感情」をつかさどっています。通常は前頭前野の働きのほうが優勢ですが、ゲーム障害が起きると、前頭前野の働きが悪くなり、大脳辺縁系による「本能」「感情」に支配され、依存状態から抜け出すのが難しくなってしまいます。
これは、アルコール依存やギャンブル障害の患者さんでも確認できる同様の異常反応です。脳に異常な反応が起こると、「ゲームをしたい」「遊びたい」などの衝動的な欲求に襲われ、依存状態から抜け出せなくなります。
このような依存状態が続くと、「理性」をつかさどっている前頭前野の機能が低下し、ゲームに対しての欲求がさらにエスカレートしていきます。
目的は何か
私も無料の携帯ゲームを利用した経験があります。『課金』したこともあります。
無駄に時間を割いてしまったり、それが気になって仕事が手につかなかった経験もあります。利用したきっかけは、友人からの紹介だったりSNSの広告が気になったことでした。ところが、『所詮、暇つぶし』という思考が奪われるような仕組みになっていて、依存性を高め課金を促すような内容になっているんですね。
ゲームの内容の面白さを高めることは良いと思います。エンターテイメントとはストレスの解消や、表現力を育むために私は大事だと思います。
しかし、ゲーム依存の問題点は『課金』や『依存』を促すように仕向けることです。
そして、厄介なのはそうした依存性を高める方法を規制できていない事にあるのだと思います。
図のとおり、実際にはアルコール依存よりも怖いのがネットなどへの依存症です。
ところが、お酒は禁止されていてもネットは禁止されていません。
とくに未成年者では、前頭前野の働きが十分に発達していないため、ゲーム障害が起こりやすく、将来にわたって影響が続く可能性があると考えられています。
私たち大人から、我慢する事や理性的な行動をとることなど『大人の責任』を全うして、子供たちの未来を守っていかなければいけませんね。