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介護事例 腸閉塞と変形性膝関節症

介護を学ぶために学校へ通い、いよいよ卒業です。


グループワークで事例の検討をしていきますが、今回は『腸閉塞』『変形性膝関節症』を持つ高齢者の事例です。


腸閉塞とは


腸閉塞とイレウス

腸閉塞は、私の母も緊急入院したことがあります。

事例でも、緊急入院を繰り返して体力低下を起こしている人です。

腸がふさがってしまう病気は、腸に何か詰まったり腫れたりしてふさがる『腸閉塞』と病気によって腸が動かなくなったり癒着してしまうことで塞がる『イレウス』があります。


大腸がん

腸の病気というと、『大腸がん』がいちばんに出てくるかもしれません。ポリープや潰瘍性大腸炎などもあります。でも、腸の病気で怖いのは腸の『癒着』です。腸がふさがってしまう状態はとても危険です。うんちが出なくなるのは、うんちが硬くなるからだと思っている人も多いかもしれません。


ところが、様々な原因で腸の管が細くなったりくっついてしまって細くなる事の方が怖いです。おうちでも、下水管が詰まったら大変ですからね。これが破裂したらどうなるでしょう?


なので、今回は腸閉塞の原因や、普段から気を付ける点を、介護の角度からの視点で説明していきたいと思います。


長期目標は生活習慣の改善


事例では90歳を超えた男性の事例になります。認知症も見られず、問題は腸閉塞を2回起こしたことがあり、その度緊急入院して体力低下を起こしているという設定です。


入院によってベッドの上で生活していると一気に筋力が低下してしまいます。この方の場合、変形性膝関節症の痛みもあり、両手4点杖歩行をされているという事。


入院→筋力低下→腸閉塞リスク上がる→緊急入院→筋力低下→リスク上がる


という悪循環ですね。このケースに限らず、病気から寝たきりや認知症のリスクが高まる事は少なくありません。大切なのは、治療だけではありません。

介護士は、医療職と連携して治療の効果をしっかり観察することも大切ですがそれ以上に、利用者の生活に及ぼす心理状態や行動を常に観察しておく必要があります。


報告には主観を入れても良いですが、『その根拠となる状態』は必ず記入しましょう。

『推測』はダメです。『〇〇のようだ』ではなく、『〇〇のようなので、△△されていた』とか『△△といわれた。』と起こった事実を必ず書くようにしましょう。


私が、今回掲げた目標が3点。

食事の改善水分補給運動 です。


これによって、腸閉塞を引き起こさないようにすることが『生活習慣の改善』という目標の達成につながります。


目標の根拠


①食事の改善

食事の改善については、アセスメントの中に本人が『食事がかたい』と言われているというものがありました。腸閉塞にならないように、よく噛んで食べているという事だったのですが、『噛めなくなる』理由は大きく2つあると思っています。

調理した料理の硬さと水分量です。食材によってはパサパサしやすいものや、繊維質のものなどがあります。


腸閉塞の人が注意したい食材が、食物繊維の多いものや噛み砕いにくい食べ物です。

・腸閉塞予防のために控えた方がいいもの

コンニャク、硬い繊維の野菜(タケノコ、ゴボウ、レンコンなど)、キノコ類、海藻類、イカ、タコ、油の多い料理、脂肪の多い肉など


食物繊維

食べ物より気をつけたいのが、『ゆっくり食べる』という事。女性に(特に子育てや仕事に追われている方)は要注意ですね。よく噛まないと消化不良を起こして便が詰まる原因になります。事例では、煮物など水分を増やせる食材は、だしなどの水分を加えてやわらかくするとか、詰まりやすそうな食材にはやわらかめのトロミをつけて摂取する水分量を増やすなどの改善をしました。


にゅうめん

ネットにも腸閉塞に関するレシピが出ているので参考になります。


②水分補給

足が悪いと、冷蔵庫やポットなどのところまで行くのも面倒になります。


ocha

じっとしているのは良くないですが、『水分を取る習慣をつける』という目的が優先なので、居室やリビングなどにポットや水筒ですぐに水分摂取できる工夫をします。


水分摂取が便秘の解消になる事は、みなさんご存知だと思います。それでも飲まない理由は、『面倒くさい』か、『おしっこが近くなる』だと思いませんか?

介護士は、日々水筒の中身をチェックしてとった水分量の記録を取ることが大切ですね。そして、飲んでいないようであれば、コップについであげるなどして摂取を促すことが大切になると思います。


③運動

この3つの中で、もっとも重要になるのが運動です。


歩く、動くというのは、大腸がんの手術などでも食事より先に行うようになるリハビリです。なぜでしょう?

『腸の癒着』を防ぐためですね。筋肉量が落ちてくると、腸の蠕動運動や腸腰筋など腸の動きをサポートする筋肉も動きにくくなります。

そのため、物が詰まりやすくなったり、便がなかなか排せつできなくなっていきます。


高齢者の場合、これが便秘の原因になる事が多いです。普通は、『憩室』(大腸にくぼみができること)などに便が溜まってしまうケースが多いですが、これができやすい人も、腸の動きが悪い人です。マグネシウム系の便秘薬なら良いですが、『コーラック』や『ヨーデル』などを常用していると、余計に腸の働きが悪化するケースもあります。


そのため、すこしでも座っている人は歩く習慣を、寝ている方は座位にしてお腹のマッサージをするなどして、お薬だけに頼らない習慣が大事だと思います。


腸内細菌の話は別物


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いつも思うのですが、腸の事や病気の事を知らない人ほど、便秘や腸の病気と乳酸菌の話をくっつけたがります。イメージに惑わされないように気をつけましょう。


腸内細菌のバランスや、腸内フローラの話は下剤を飲んでうんちを出す話とは違います。


それ以前の話なので、ちゃんと治療や生活習慣改善を優先して行いましょう。


もちろん、並行して行うのは良いと思います。相乗効果もあるでしょう。


いつも言いますが、

『自分が納得できる』正しい情報をみつけて実践していきましょう。