本人の意思と可能性
前回の介護過程の説明の中に、『アセスメント』がありました。23項目それぞれについてはまた、書いていきたいと思います。
今回は、その中でも『介護認定』について。
この介護認定度は1から5まであります。5が一番重い状態で、1や2はまだ比較的軽い段階です。さらに『要支援』と言う項目があります。
認定は行政が行います。
認定までの流れは、簡単に言うと申請して、利用希望者への聞き取りと医師の診断書をもとにコンピューター判定と専門家の判定を経て介護度が決定されるという流れです。
認定度によって、行う介護の方向性が変わってくると思います。これは、介護過程を進める上でとても大切な部分です。
また、在宅介護と施設介護でもできることの範囲が変わってくるので、そこも踏まえて、何をどこまで誰がいつ、どのような形で行うのか具体的な計画と支援が必要になります。
リスクを取るか取らないか
いくつかの事例検討をやりました。
事例検討とは、教科書に載っている例題で、文章から仮の利用者さんの情報を読んで、アセスメントを作り、そこから現状の整理と仮説を立て、課題を見つけると言うものです。
要するに、その人が今どこが弱ってて何をしてあげたら良い介護なのかを考えて、介護を行なって行くという事です。
でも、気をつけないといけないのは、『こうしてあげたい』とか『こうした方が良いだろう』ではなく、『本人がどうしたいのか』『どうして欲しいのだろう』を前提に、事実を客観的に捉えて、計画して行かないと、単なる自己満足の介護になりかねません。
介護度が上がるほど、何かを行う(自分で歩く、食べる、排泄するなど)ことに転倒や誤嚥、不浄といったリスクが伴います。
リスク回避を優先するのか、本人の可能性を優先するのかは、本人の意思と能力を私たちが冷静に判断しないといけませんね。
主観を入れてはいけないのは、記録を書くときだけではありません。また、介護者本位になってはいけないのは、実際の現場での作業だけではありません。
プランの計画や介護過程の作成、そして現場での実践に至るまで『利用者中心』の基本的な考え方は忘れてはいけないと思います。
これはただの『理想論』ではありません。やらなくてはいけない課題なんですね。
自分本位な思考になると(利己主義や儲け主義など)、これらを『理想論』といって否定しがちです。
守備範囲の違い
介護がチームプレイと言われるのは、ケアマネジャー、医療専門職、看護師、介護士などが協力して、介護を必要とする方の日常生活をケアしサポートしていきます。
それぞれの守備範囲は違います。ただ、重なる部分も多くあります。
それぞれが、信頼と連携を大切に自分の仕事を全うすれば、本当に利用者に喜ばれる介護ができると思います。
それぞれの担当者にも得手不得手はあるでしょうし、ベテランと新人では仕事の質も違うでしょう。でも、お互いが協力することでカバーできるはずです。
発想の転換とせめぎあい
現場の介護過程は、ケアプランをもとに作成しくようです。まだ、現場の現実はこれから経験するのでわかりません。
実習では、フェイスシートやアセスメントをもとに作成していきます。
講師の話では、実際のアセスメントやフェイスシートがきちんとそろっていないケースも多いようで、ケアプランもケアマネジャーさんの力量によって違いがあるようです。
事例の検討でも、やった方が良いと思う事ややってはいけない事、できること・できない事も学びます。
ここまでは出来る、ここからはダメなどのせめぎあいもあります。これは、介護の内容だけでなく、保険点数をどれだけ使えるか、自己負担がどのくらいかなどもです。
あれもできない、これもできないとなると、ついネガティブな思考になりがちですが、しっかり知識と経験を積み、周囲のとの連携をはかることでプラスの要素や、突破口が見つかるかもしれません。
どんな仕事でも、長くやるほどに考え方が凝り固まって『発想の転換』が難しくなることがあります。やはり、自己研鑚と成長する意欲が大事ですね。