スピーチロックとは
聞きなれない言葉かもしれませんが、介護に限らず日常的に使っているものかもしれません。介護保険制度が始まって23年になりますが、この間に介護の現場の環境は大きく変化してきているようです。
これを介護現場だけではなく、社会の福祉や教育などにもっと活用できれば様々な社会問題の改善につながる気がしますね。
身体拘束や差別・偏見は根が深い
『差別』と一言で言っても世界中にはいろんな差別が存在します。
価値観の違い・文化や風俗の違いなどと言われますが、世界的に科学的・論理的基準が徐々に設けられて、その改善の為に国際機関やボランティア団体などが積極的に活動されていたりしますね。日本でも、いじめや自殺の問題や性的マイノリティの問題などに注意喚起が叫ばれる中、ネット上では未だに差別的な発言なども見受けられます。
精神系の病院の看護師さんとお話をしていてわかったのは、精神患者を扱う病院ほど今は薬の投与や、拘束に関してシビアになっているということです。
過去には、人権を無視したような対応も多くとられていたようですが、これは認知症の記事の時に触れましたBPSDなどの症状や精神疾患への知識や治療方法がまだ未熟だった結果かもしれませんよね。
医療の現場も、介護の現場も、試行錯誤しながら業務改善に取り組んでいるのに、一部のマスコミや週刊誌などが歪曲した情報を流すことによって、間違った反響や噂が独り歩きしてしまうこともあると私は思っています。
やってはいけない『3つのロック』
3つのロックとは
フィジカルロック(身体拘束)
ドラッグロック(薬物の過剰投与)
スピーチロック(抑圧的な言葉による威嚇)
です。『拘束』は介護する側の都合であって、本人が望むものではありません。
精神系疾患などに多くみられる『勝手に四肢などが動いてしまうので危険』などの場合でも、ご家族や誰かの同意は必要になります。
もっとも気を付けるべきスピーチロック
身体拘束は、見たらわかります。看護士さん同士・ケアマネさん・施設管理者や家族など、どこから見てもわかるものです。そのため、現在は身体拘束で問題になるケースは少ないのではないかと言われました。ただし、見えにくい身体拘束もあります。車いすにクッションなどを差し込んで身動き取れなくするもの、深くやわらかいソファーを置いて立ち上がりにくくしているものなど。これは、運営側のモラルの問題。
薬物に関しては、病院も多職種連携が言われるようになって多少風通しが良くなったのか、介護レベルが上がったのか、事故が多らないよう未然に防ぐ仕組みを作っている施設も多いと思います。精神疾患の場合、向精神薬や眠剤などは細心の注意を払って使用されています。(私の見た施設ではやっていたので、基本的にやっているのだと思います。)何でも、一部の問題ある施設など(多いのは人間関係トラブル)からのリークとかをあたかもすべての施設のように誤解するのは良くないですよね。
スピーチロックの原因は、すべての職種が抱える根本的な問題
そもそも、スピーチロックの定義というものはありません。相手がどう思うのかは、わからないし。第三者が見て騒ぐのかもしれませんしね。
もっとも誤解されやすいのが、『意図的にやってる』と思われている事じゃないでしょうか。認知症の記事の時にも書きましたが、医療や介護をきちんと学んでいる人たちは、BPSDを悪化させるようなことをわざわざやりませんよね。自分たちが大変になるだけですから。なので、原因のほとんどは
①馴れ合い(仲が良くなって、ついいってしまった)
②くせ(忙しいときなどとっさに言ってしまう)
③不器用(うまく言えないが、相手を心配して強く言ってしまう)
結局は、『油断』か『余裕がない』という状況で起こるのだと思います。
スピーチロック改善のためには
①何故、やってはいけないのかをちゃんと理解すること
利用者さんの行動意欲やADLの低下につながるので、BPSDなどが進行してしまう。また、利用者さんの信頼を無くしてしまうと状況把握ができなくなる。
デメリットしかありません
②余裕をもって、集中して仕事をする
仕事の段取りや、集中力には個人差があります。でも、頑張ればよくなるでしょう。
とりあえず、周りにも協力してもらって前向きにやってみましょう。
③気づいたときに注意しあう、注意されたら気を付ける
謙虚になる事は大事です。過信が油断につながります。お互いが注意しあえる環境を作る事が最も大事でしょうか。
この繰り返しだと思います。
最後に
人を『注意する』ことは、とても難しいです。
なぜなら自分も注意されるのは嫌ですし。気分の良いものではありませんよね。
これは、利用者さんも一緒なんですけどね。
でも、失敗を繰り返しながらも上手な言い回しとか、どういわれたら良かったか嫌だったか、職場の仲間で検討してみてはいかがでしょうか。
これは、マニュアルにはできないです。人が変われば、言い方も変わりますから。普段からの意思疎通を大切にしましょうね。