私たちの生活に、水は欠かせません。
便は約75%が水分、残りの25%が食物繊維を含んだ食べ物のカスと腸から脱落した腸内細菌の死骸などの固形成分です。
便は水分を含んでいるからこそ、容積が膨らみ、大腸内を移動しやすい硬さとなります。そのため、水分不足になると便の水分量が減り、カチカチの硬い便となって排出しにくくなってしまいます。
水分は、栄養を運ぶのにも粘膜を潤して汚れを落とすのにも必要です。
日常的に水を飲む機会が少ない人は、水分不足が便秘を引き起こしている可能性があります。
1日の水分の摂取量目安は2.5リットル(内訳:食事から1リットル、飲料水から1.2リットル、体内で作られる水0.3リットル)とされており、1日かけてこまめに水分を補給するようにしましょう。
介護施設でも、利用者さんの一日の水分摂取量はこまめに記録します。
排便量や回数も大事ですが、まずは水分摂取を心掛けます。
水分の摂取量は、排尿にも排便にも影響します。
環境を作るのは自分自身
肉ばかり食べたり野菜が不足したりするなど、食生活の乱れも便秘を引き起こす原因です。肉類に含まれる動物性タンパク質は、過剰に摂りすぎると悪玉菌のエサになって腸内環境を悪化させることがあります。
また、野菜には、消化吸収されずに大腸まで届く水溶性食物繊維・不溶性食物繊維が含まれており、それぞれの食物繊維には便秘解消につながる特徴があります。
腸内にはある程度の便がないと便を押し出すことができず、排便が難しくなります。
過度な食事制限ダイエットで食べる量を減らしてしまうと、栄養が偏ってしまい、食物繊維の摂取量が減ります。
その結果、便のカサと水分量が減少し、便自体の量が減ってしまうのです。
また、ダイエットで脂質を制限することがありますが、脂質は便の滑りを良くする作用があります。また、脂質に含まれる脂肪酸は大腸を刺激してぜん動運動を促進する効果が期待できるため、適度な脂質の摂取が便秘解消に役立ちます。
過度な糖質制限とか、脂質を避けるとか、野菜を食べないとかネットでは肯定的な意見も否定的な意見もあります。医学的、科学的根拠に加え自身の体験や経験から、自分に合った便秘の予防や改善方法を見つけたいものです。
いろんな情報に左右され自分で腸内環境を悪化させることもあります。
腸内環境の研究で欠かせないのが、腸内フローラです。自分の腸の中にいったいどんな菌がどのくらいの数でいるのかによって、腸内環境は大きく影響されます。
前にも述べましたが、腸内環境は体質や遺伝、生活習慣など様々な要因で変化しますが、それとは別に腸の病気は発生します。
乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌が注目されるのも、腸内環境を良い状態に保つことが健康長寿に役立つということがわかってきたからですね。
健康な赤ちゃんのおなかの中には、とても素晴らしい『善玉菌』がたくさんいるようです。乳酸菌もビフィズス菌も腸内環境を整えるためにとても大切な善玉菌です。
次回は、腸内環境と善玉菌についてです。